高田渡さんが亡くなって早くも4年が経とうとしています。今年も“高田渡生誕会”が行われ、今なお多くのミュージシャンに影響を与え、熱烈なファンに愛されているかがうかがわれます。
映画会社・アルタミラピクチャーズは2001年に渡さんと出会い、彼の音楽活動と日常生活を追った映画『タカダワタル的』を製作しました。そしてこの映画のサウンドトラックを発売するために音楽会社・アルタミラミュージックを立ち上げました。
そして映画と音楽を通じて渡さんと親交を深め、次第に次回作の話をするようになっていったのです。
しかし、悲しいことにそれが実現しないまま、渡さんは亡くなられてしまいました。
高田家にはカセットテープなどの音源、渡さんが写った写真や渡さん自らが撮影した写真、音楽雑誌の切り抜きやライブのチラシなどが残されました。
そうした渡さんが残した膨大な資料を風化させてはいけない。私たちは渡さんのメッセージを読み取るためにもそれらの資料をきちんと整理することを決意しました。
そして、その作業の中から2001年の大晦日に行なわれた泉谷しげるとの共演ライブの映像記録が映画『タカダワタル的ゼロ』として誕生したのです。
アルタミラミュージックはオフィス高田渡と共に音楽的遺産とも呼べるカセットテープなどの音源をデジタル化して保存する作業の中、選りすぐった楽曲でアルバムをつくりたいと今回の『高田渡、旅の記録』を企画しました。
渡さんの自宅に保管されていた音源はカセットテープ、DAT、MD、オープンリールなど合わせて約150本もありました。
それは渡さんが生前ライブをしながら日本全国を旅して回り、ライブの模様をスタッフや関係者の協力のもとカセットテープなどに収録したものです。
テープの総収録時間は約148時間。
曲数としては約1,350曲。
担当ディレクターはその膨大な音を2007年7月から約4ヶ月もの間聴き続け、曲名やパーソネルなど不明なところは、渡さんが保管していた雑誌やチラシ、切り抜きをめくりながら探しました。それでも不明なものは渡さんと共演したミュージシャンたちに記憶を辿ってもらい補完していったのです。
その作業は1年以上を費やしました。
当時の録音状態や音源の保存状態により、音量、ノイズのばらつきなど音質のクオリティは決して良いとはいえませんが、クオリティよりも渡さんの唄の圧倒的な存在感と当時のライブ会場の空気感を伝えることを重視しました。
これは単に故人の記録的なアルバムとしてではなく、「ライブの中には僕がほとんど集約されている」と語る渡さんのライブを感じていだだけるような構成を心がけたからです。
そして2008年5月『高田渡、旅の記録上巻』としてリリースすることができました。『上巻』では80年から90年代のライブのセット・リストを参考に選曲や曲順を決めていったものです。
そして今回リリースする『下巻』では90年代以降のセット・リストに基づき構成しました。上・下巻合わせてここに高田渡のライブアルバムの集大成と呼べるものが完成したと自負しております。
高田渡、唯一の公式ライブアルバムがこの『高田渡、旅の記録』なのです。
NEW ALBUM「高田渡、旅の記録(下巻)」
2009年5月20日(水)発売!
AM-011/AM-012
二枚組・定価¥4,500(税抜¥4,286)
大好評の上巻に続き下巻が遂に発売!
ライブアルバムの集大成堂々完結!!
● 1969〜2002 全35曲ライブ+トーク
● 幻の音源・未発表楽曲をCD初収録
● 長男・高田漣による書き下ろしメッセージ
● 素顔の高田渡をとらえたプライベートフォト満載
● 二枚組・特別仕様(24Pブックレット)
DISC-1 |
---|
1. 仕事さがし詞・曲:高田渡 1997.02.18 高円寺・JIROKICHI 2. 失業手当詩:Langston Hughes 訳詩:木島始 曲:高田渡 1985.05.18 鎌倉【話す会 アットホームコンサート】 3. コーヒーブルース詩・曲:高田渡 1996.09.17 新宿・日清パワーステーション 4. 「ラブソング」1997.12.13 石垣島・すけあくろ 5. アイスクリーム詩:衣巻省三 曲:高田渡 1997.12.13 石垣島・すけあくろ 6. 年輪・歯車詩:有馬敲、山之口貘 曲:高田渡 1996.07.20 岐阜・御浪町ホール【ウェバリー・ブラザース ライブ】 7. 「なかなか見つかりにくい」1998.01.26 渋谷・ジァンジァン 8.ものもらい詩:山之口貘 曲:高田渡 1998.01.26 渋谷・ジァンジァン 9. 座蒲団詩:山之口貘 曲:高田渡 1980.08.09 北軽井沢・Virginia Green 10.「Aなら唄えそうでありますね」流行ものには目がないわ詞・曲:なぎらけんいち 1993.08.20 吉祥寺・MANDA-LA2 11.銭がなけりゃ詞・曲:高田渡 1996.11.03 吉祥寺・MANDA-LA2【ウェバリー・ブラザース+村上律 ライブ】 12.出稼ぎの唄詩:小幡周太郎 曲:高田渡 1997.03.02 富良野・唯我独尊 13.その朝詞:加川良 曲:Traditional 1997.02.18 高円寺・JIROKICHI 14.相子原詩:高木護 原曲:Traditional 2002.03.07 広島・CLUB QUATTRO 15.「俺、学校に行きたいと思ったもんね」2002.03.07 広島・CLUB QUATTRO 16.自由な奴詩:永山則夫 曲:高田渡 1980.11.24 市川・りぶる 17.「ものには順序があります」1997.12.13 石垣島・すけあくろ 18.ミミズのうた詩:永山則夫 曲:高田渡 1997.12.13 石垣島・すけあくろ 19.「中華鍋が好きだから」1997.12.13 石垣島・すけあくろ 20.新わからない節詞:添田唖蝉坊、山路赤春 曲:Traditional 1997.12.13 石垣島・すけあくろ 21.「少しは…」1997.12.13 石垣島・すけあくろ 22.魚つりブルース詩・曲:高田渡 1997.12.13 石垣島・すけあくろ |
DISC-2 |
1. 夜風のブルース詩:Langston Hughes 訳詩:斎藤忠利 曲:高田渡 1996.09.17 新宿・日清パワーステーション 2. しわ *原詩:谷川俊太郎 作曲:不祥
1996.08.17 南青山・MANDALA 3. 「まぁ、あることあること・・・」1996.07.20 岐阜・御浪町ホール【ウェバリー・ブラザース ライブ】 4. ブルース詩:Emily Dickinson 訳詩:中島完 曲:高田渡 1990.11.08 吉祥寺・MANDA-LA2 5. 「唄ってんの好きなんだな」1999.11.21 吉祥寺・MANDA-LA2 6. 朝日楼訳詞・曲:高田渡 1999.11.21 吉祥寺・MANDA-LA2 7. 鎮静剤詩:Marie Laurencin 訳詩:堀口大學 曲:高田渡 1997.02.18 高円寺・JIROKICHI 8. いつか詞・曲:高田渡 1997.02.18 高円寺・JIROKICHI 9. ウイスキーの唄詞・曲:朝比奈逸人 1980.10.05 江古田・マーキー 10. Good Night詞:KURO 曲:西岡恭蔵 1999.11.21 吉祥寺・MANDA-LA2 【リングリンクス】 高田渡(唄) ーお詫びと訂正ー 11. 「早く帰ってきて!」1999.11.21 吉祥寺・MANDA-LA2 12. ソフィア詞:けいすけ 曲:Traditional 1969.12.18 京都・誓弘寺 13. 新馬鹿の唄 *〜当世平和節新馬鹿の唄詞:添田唖蝉坊、山路赤春 曲:不祥
1980.10.05 江古田・マーキー 当世平和節詞:添田唖蝉坊、添田さつき、山路赤春 曲:Traditional 1980.08.10 北軽井沢・Virginia Green 14. 愛党行進曲 *詞:不詳 曲:Traditional 1980.11.24 市川・りぶる 15. もしも詞・曲:シバ 1980.09.14 北軽井沢・Virginia Green 16. 長屋の路地に詩:木山捷平 曲:高田渡 2000.10.04 新大久保・東京グローブ座 高田渡(唄、アコースティック・ギター) 17. 鉱夫の祈り詞・曲:高田渡 1999.11.21 吉祥寺・MANDA-LA2 18. 夕暮れ詩:黒田三郎 詞・曲:高田渡 1996.07.11 吉祥寺・MANDA-LA2【ウェバリー・ブラザース+松田幸一 ライブ】 高田渡(唄、アコースティック・ギター) 19. 「くつが・・・」1996.07.11 吉祥寺・MANDA-LA2 20. くつが一足あったなら詩:Taras Shevchenko 訳詩:渋谷定輔 詞・曲:Leadbelly
1996.07.11 吉祥寺・MANDA-LA2 21. 風〜Ramblin’Boy風詩:朝倉勇 曲:Traditional 2002.03.07 広島・CLUB QUATTRO Ramblin’Boy曲:Tom Paxton 高田渡(オートハープ) |
※「 」のついたタイトルはトーク。 *のついたタイトルは未発表楽曲・CD初収録曲。
1949年、岐阜県に生まれ東京に育つ。中学卒業後、昼間は印刷会社で働き夜は定時制高校に通う生活を送る中、アメリカのフォークソングに傾倒し曲作りを始める。1968年、フォークキャンプで『自衛隊に入ろう』を唄い注目され、翌年『高田渡/五つの赤い風船』でレコードデビューを果たす。自作のほか、明治・大正・昭和の演歌師や山之口獏をはじめとする詩人の現代詩に曲をつけたスタイルを確立する。そんな独自の手法で日本のフォークソングを次々と作り出し、40年近く全国各地で唄い続けた。2005年4月、公演先の北海道で急逝。享年56歳。今もなお“高田渡生誕会”が毎年行われ、多くのミュージシャンやファンに愛されている。